†「まるマ」SS・1(ムラケン視点)†



◇ Liebe 眞王 ◇


         やぁ、元気かい?
         日本は9月に入り本格的な台風の季節になったけど、今日は
        天気も いいから、君に本当の事を告白しようと思う。


         四千年前‥‥あの頃の僕は、君の事を かなり持て余 (あま)して
        いたんだ。
         創主達との戦いで僕らは力を合わせ、互いの持てる力の限り
        を全て出し切った。
         気力も体力もギリギリの所で、僕らは何とか創主達を抑 (おさ)
        え込む事に成功したよね。
         ‥‥‥‥今こそ、君に真実を語ろう。
         僕は‥‥、いや、僕の過去世である大賢者は、戦いが終わっ
        た あの時『これで君の側を離れる事が出来る』と安堵 (あんど)
        したんだ。
         恐らく、君だって僕と同じ事を思っていただろう?
         互いに『光と闇』として生まれ、対 (つい)になる事を約束され
        た僕らだったけれど、相性は最悪だったからね。
         でも、光なくして闇は生まれないし、逆もまた然 (しか)りだ。
         実は後世に語り継がれているように、本当はね、僕は君の闇
        の部分に もの凄く憧 (あこが)れていたんだ。
         激しく舞う炎華のごとき美しい君が、時折 (ときおり)垣間 (かいま)
        見せる真の闇に、僕は『無限』を見出 (みいだ)す事ができたから。
         それと同時に、僕は無限の中に恐ろしさを感じていたよ。
         光と闇は永遠に無限を約束されているのだという事に、孤独
        の恐怖を感じたんだ。
         そして僕らは互いに その『光』と『闇』だったから。
         だから例え『対』なる存在同士だったとしても、僕らは相反
        する存在ゆえに、未来永劫 (みらいえいごう)決して混ざり合う事は出
        来ないのだと思い知らされた‥‥‥。
         僕が どんなに君に触れたくても、それは許されない行為だっ
        たから、僕は君の側にいるのが苦しかったんだ。
         そして僕は異世界へ、‥‥‥‥君が存在しない世界へと逃げ
        込んだ。 
         そうしなければ、僕はきっといつか君をメチャクチャにして
        しまうと自覚していたからね。
         許してくれ、とは言わないよ。
         君と離れていた四千年‥‥‥。
         それは短いとは言えない歳月だけれど、僕には必要な時間だ
        ったから。
         でも君は四千年もの間 (あいだ)、僕がそちらに戻る事を信じて
        ずっと待っていてくれたんだろう?
         渋谷の魂を地球へ送った事も、僕を信じて彼を託してくれた
        のだろうし。
         だからこそ僕は もう迷わない。
         何度も何度も生まれ変わり、僕はもう以前の、君の知ってる
        『大賢者』ではないかもしれないけれど、それでも君という美
        しい存在に焦 (こ)がれる一人の男である事実に違いは ないのだ
        から。
         だから今すぐにでは ないけれど、僕が村田 健として生きて
        いる間に、必ず君のいる世界へ戻り、君を奪 (うば)いに行くよ。 
         ‥‥‥‥‥ああ、大丈夫だよ。
         光である僕と、闇である君が混ざり合ったとしても、光も闇
        も消える事はないのだと気付いたから。
         大賢者である僕の言葉を信じて欲しいなぁ。
         だって既に、新たな『光』と『闇』になるべき二人は そちら
        で奮闘 (ふんとう)している最中だろう?
         これからは あの二人が照らす光と、真の闇の時代がやって
        来るのだから、僕らは楽隠居 (らくいんきょ)できるよ、きっと。
         ご老公、な〜んて呼ばれちゃったりなんかしてネ♪
         それにもし、彼ら二人が混ざり合ったとしても、光と闇が消
        える事には ならないんだし。
         そう。すぐに新しい光と闇は生まれるからね。
         何しろ光と闇は無限なんだから。
         いや〜、僕とした事が、こんな簡単な事に気付くのに四千年
        も かかっちゃったよ。
         まぁ、多少 抜けてる方が可愛さもあっていいよネ v
         ‥‥‥‥‥え?  ははは、いやだなぁ、僕の性格が変わっ
        たって?
         そりゃあ、何度も転生すれば性格くらい変わるよ。
         それに厳密 (げんみつ)には、今の僕は“村田 健”だからね。
         でも大丈夫! 何度生まれ変わっても、君の事を忘れた日は
        1度としてないんだからサ♪
         雨の日も風の日も、どんぶらこ〜、どんぶらこ〜、とね。
         じゃあ今度 会える日まで、僕は楽しい土産話でも用意して
        おくから君も息災にね v

         ‥‥‥‥‥‥え、何?  もう1度生まれ変わって性格を
        矯正 (きょうせい)し直してから迎 (むか)えに来い、だって?
         あははは(笑)、相変わらず手厳 (てきび)しいなぁ♪
         でも僕は そんな君を愛しちゃってるんだよね v
         恋って、広くて偉大 (いだい)な心を育 (はぐく)むもんだねぇ。
         君もそう思うだろう? マイ・スウィートハニー?

                          
                              ムラケン 拝



                                   終



        今回は珍しく「ムラケン×眞王」を書いてみました。
        眞王がどのような御方だったのかは原作でも(現時点の地上
        波マニメでも)明かされていないので、想像の域を出ません
        が、いつもの如く妄想のままを書いてみました。
        次回はユー×ヴォルで、ちょっとお下品系かもしれません♪ 





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